社名
トランローグ有限会社 Tranlogue Associates Inc.
所在地/連絡先
〒104-0031 東京都中央区京橋1-1-5Tel. 03-5540-6990contact★tranlogue.jp(「★」を「@」に置き変えてください)
取締役
杉田基博 プロフィール1963年 千葉県生まれ1986年 京都工芸繊維大学 工芸学部・意匠工芸学科卒業1993年 杉田デザインワークショップ開設1996年 トランローグ有限会社設立 一般社団法人 里山ソーシャルデザイン 代表理事房総サーキュラーエコノミー推進協議会 事務局長
加盟団体 東京商工会議所 在日イタリア商工会議所
創業にあたって
一体いつ頃から、またどういう目的で、どこの誰ともわからぬ人々のために、われわれはものをつくり始めたのであろうか。
人類はその昔、道具を使いこなすことで他の動物とは異なる創造的文化の歩みを始めた、と言われている。 最も創造的な発明が文字であった。 会話によるコミュニケーションにおいて「デザイン」は発生しない。文字の使用により人の思考が初めて脳の外側に、目に見える形として顕在化した。それが思考を図像化してみせるデザインの萠芽である。しかし、太古の時代において、およそ日常的な道具をつくることは自分もしくは身近な人々のためであり、「デザイン」が思考の一部として切り離され、脳の外側で目に見える形で他人に伝達される必要はなかった。 「デザイン」は、明らかにある人が他の人のためにものをつくる時に、その意図を伝達する必要から生まれたものである。つまり、「デザイナー」はクライアントが納得ゆくようにプレゼンテーションを行ない、状況を確認しながら「デザイン」を進める。また同時に「デザイン」は、考える人とつくる人が明確に区別される職業分化の時代に始まったとも言える。つまり、「デザイナー」は「デザイン」に基づいて手作業もしくは機械による製造を行なう人々と連絡を取りながら「デザイン」を進める。流通の発達により場所を越えて物が売買され、生産の機械化が大量にものをつくることを可能とし、またそのシステムを最大限に利用して利益の向上を追及する諸活動の中から「デザイン」と「デザイナー」が確立されたのである。つまり、「つくってから売る」という産業システムの構築とともに、「どこの誰ともわからない人々のためにものをつくるようになった」のである。
このような「どこの誰ともわからない不特定者のためのデザイン」は産業革命以降、とりわけ20世紀の大量生産、大量消費の時代に栄華を極めた。 しかし誰もが、つくれば売れる時代にはこのシステムの矛盾に気づかなかった。日本における「つくれば売れる時代」つまり、「海外において売れることが実証されている商品をつくって売る時代」には、「デザイン」の理論も海外から輸入すればそれで済まされた。極論すれば、デザイン理論がなくても、ものはつくれた。「売れるもの」を売りつくしてしまった今日、「売れるもの」に代わる「価値あるもの」を独自につくりだすための理論と実践の方法が求められている。
本書では、「不特定者のためのデザイン」の問題点を「誰が使用するかわからない製品を計画しなければならないことから始まる不確実性、非効率性、環境破壊」等に帰結し、その解決には「情報戦略、製品のソフト化、エコロジカルな生産システム」等が重要であることを提案している。また、何よりも重要な点としてあらかじめデザインの使用者を特定する「特定者のためのデザイン」の実践について強調している。 「デザイン」ならびにデザインを取り巻く今日のポスト・モダン、ポスト資本主義社会が希求し続けてゆくものは「リアリティ」であり、その獲得のためには「よりバーチャルであること」「参加すること」が不可避である。「デザイン」はその実践の要を担うものである。(以下省略)1993年6月デザインワークショップ設立にあたって 杉田基博
以上)