インド・デリー、グルガオンのライフスタイル Life Style in Delhi,Gurgaon,INDIA 2016/12/07 photo & text : Kazuko TOMOYORI + Tranlogue Associates 世界第2位の人口13億人を抱えるインド。2030年までには、中国を抜いて1位になる見込みです(UN,World Population Prospects2015)。構成年齢も典型的なピラミッド型で、若い人口が多くを占めています。 製品やサービスの開発に係る国内外の情報サービスを行っているトランローグは、2016年10月、インドのライフスタイル調査のため、現地を取材しました。その様子を一部ご紹介します。 インドは、新興国BRICs(※)の中でも、ここ数年GDPが年7%という高い成長率を達成しています。※ブリックス: 2000年代以降著しい経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称。南アフリカ共和国を加えることもある(wikiより)。2014年にモディ政権が誕生し、海外投資を呼び込んだり、国内の製造業を後押しするなど、経済振興を推進しています。現地で聞いた話によると、モディさんが政治に参加するようになったのは、彼が働いていたチャイ店(カフェ)が、政治家の集まりにチャイを提供していたのがきっかけだったとか。やがて、出身地グジャラート州の首相に就任しました。州では、インフラ整備や外資の受け入れに力を入れ、州の経済発展に貢献。その実績をかわれて、インドの首相に就任したモディさんとその政権には、国民も大いに期待しています。 中間層の増加で、車の販売も拡大を続けるインド 自動車ショールーム_01MARUTI SUZUKI /マルチスズキ 取材した10月は、インド人が1年で最も買い物をする月間「デワリー(ヒンドゥー教の新年のお祝い)」。ショッピングモールは多くの買い物客で賑わい、取材で訪ねたマルチスズキの販売店でも、1週間で、160台を販売したそう。店の周りに 納車予定の車がズラリと並んでいました。 ▲インドで4割近いシェアを持つマルチスズキのショールーム モディ政権では、車を購入する際、現金よりローンを組む方が安くなるような政策を進めているとのこと。どういう意味かというと、インドでは富裕層ほど税金逃れのため、現金を持っており、ローンで車を買う庶民により多く車を買ってもらう政策の一つなんだそうです。また、銀行口座の開設を促し国民の財産を把握するためか、「口座を開設した人には、助成金を振り込む」といったユニークな政策や、11月8日には突然、高額紙幣の廃止を発表し、世界を驚かせました。表向きは、ニセ札対策だとしていますが、富裕層の現金による蓄財を吐き出させる狙いがあると見られています。 ▲案内していただいたマルチスズキ販売店マネジャー インドの人の車の購入意欲は、高まっていて、庶民の車スズキをはじめ、FORDやHONDA、HYUNDAIなどのワンランク上の車の販売も好調。取材中にも多くのFORDのSUVを目にしました。マルチスズキもそれを見過ごすわけにはいかないとばかりに、昨年にはランク上のブランドショップ「NEXA」をオープン。店の中も通常店とは違う、おしゃれなインテリア。個室でiPadと大型モニタを使い、プレゼンテーションしています。 ▲昨年オープンしたマルチスズキの「NEXA」ショールーム ▲個室スペースでのiPadと大型モニタを使った接客 ▲モダンで明るい店内。店員もオシャレなスーツで揃えている 自動車ショールーム_02HONDA/ホンダ ▲GurgaonにあるHONDAショールーム ▲盗難予防や修理のアフターサービスの充実が購入のポイントになるインドでは、車のコネクトサービス加入者も多いのだそう ▲車を購入する際は、家族みんなの同意を大切にしている ▲デリー市内を走る車はどれも、想像以上に新しくきれい ▲アジアならではの人力3輪車リクシャーも気軽な足として健在 住宅訪問:01Sharmaさんのお宅 DelhiのRohini地区、宝石店に勤めるSharmaさんのお宅を訪問しました。Sharmaさんはミドルクラス。まだ、新築されて間もない5階建てのマンションの1フロアに、家族4人でお住まいです。ご主人はお仕事で留守でしたが、奥さんと息子さん二人が出迎えてくれました。近年は、デリーなどの都市部は、このお宅のように核家族が増えているとのことでした。 ▲1階は駐車場。出入りは日本のマンションと同じようにインターホンで呼び出し、来訪者を確認した上で解除するオートロック式。呼び出し音はインドらしく、音楽とともにお経が流れる ▲エレベーターホールの壁には大理石。インドでは大理石が豊富に採れるため、大理石の内装は珍しくない ▲エレベーターの内部もインドならではの、ゴージャスなデザイン ▲ご主人のお父さん、お母さんの写真が飾られたリビングダイニング ▲奥さん、2人の息子さんとお友だち ▲左手奥がリビングダイニングに続くキッチン ▲息子さんはテコンドーの選手。いくつもの大会で優勝している ▲テレビとサウンドシステム。インド人は大音量で音楽を聴くのが大好き ▲インテリアは主に奥さんが選んでいるそう ▲女性に人気の赤い全自動洗濯機 住宅訪問:02Mehtaさんのお宅 家電の修理を仕事にしているMehtaさんご夫婦と、外資系のコールセンターに勤める長男夫婦のお宅を訪問。Mehtaさんもミドルクラス。二人は、結婚したばかりで、取材の翌日からドバイに新婚旅行に出かけるということでした。 ▲20代の若い女性は、TシャツにGパンが一般的になりつつあるようです。 ▲正面右手は、神棚。ヒンドゥー教の神さま、象の顔をしたガネーシャ柄のガラス扉。左はインド特有の、鍵の付いた冷蔵庫。ステッカーには省エネ度合いを示した星マーク。以前に比べ省エネ度合いに、とてもこだわるようになったそう ▲奥さんに今欲しいものは何か、と尋ねると、「イタリアデザインのシステムキッチンにリフォームしたい」という答えが返ってきた ▲お嫁さんが選んだという長男夫婦のインテリア 住宅訪問:03Bhupinderさんのお宅 今回、取材コーディネートを務めてくれたBhupinderさんご家族。Bhupinderさんもミドルクラス。いつも微笑みを絶やさず、渋滞だらけのインドでスケジュール管理もばっちり。ご家族も優しく、料理など家での暮らしぶりから学校生活まで、ライフスタイルについて教えていただきました。 ▲穏やかなご主人のBhupinderさん一家。奥さんとは恋愛結婚だそうで、インドでも少しづつ増えているとのこと ▲女性の服装も最近では、 サリーより、シャルワール・カミーズと呼ばれるチュニックにスパッツのスタイルが人気。奥さんの手の模様は、数日前に行われたお祭り用にヘナで描かれたもの。数日すると消えてしまう。インドの女性は、強い色同士のカラーコーディネートも素敵にまとめている ▲ご馳走してくれた、奥さん手作りのとても美味しい豆カレーとチャパティ、カリフラワーの炒めものBhupinderさんの奥さんに買い物は、どこですることが多いのか訊ねると、普段はローカルマーケットへ出掛け、忙しくて時間がない時は、野菜の行商から買うことも多いとか。値段が高いが何でも揃う、ショッピングモール地下の食品売り場でも時々買い物をするとのこと ▲Bhupinderさんの家の前で出会った、野菜行商のおじさん ▲Rohini地区のローカルマーケット ▲ショッピングモールの地下の食品売り場 ローカルの不動産会社Raju Properties ▲仲間3人で地元の不動産を扱っている。事務所には、何もないがここで看板をあげていれば、お客さんはやってくる 近年次々とオープンするショッピングモール:01Pacific Mall ▲小さな遊園地も備えた巨大モールには、ZARAやスタバなどグローバルブランドが揃っている ▲テロの危険があるインドでは、店内に入場する際、必ずセキュリティゲートを通らなければならない。一見面倒だが安心できる ▲デワリー用の華やかな飾り付けをしたモール内 ▲段差のないエスカレーター デリーの家電量販店 ▲Rohini City Center Mall の家電売り場 ▲インドでは窓付けタイプのエアコンが主流だったが、最近は日本と同じように壁付けタイプも普及している ▲チェーンの家電量販店CROMA ▲大気汚染の深刻なデリーの量販店では、多くの空気清浄機が並べられている 日本のODAで始まったデリーの地下鉄 2016年現在、デリーの地下鉄は、6路線が開通していて、2021年には中国に次いで、世界第2位の総延長網になる予定。インドでは、地下鉄に乗るにもセキュリティゲートは必須です。大阪の地下鉄御堂筋線を思い出させるプラットホーム。女性専用車両もあり、とても親しみが湧きます。 ▲乗車券は日本のSuicaと同じFelicaが採用されている。右は、1回ごとに回収し再利用される、コイン型電子チケット サイバーシティ GurgaonNRMインターナショナル デリー郊外にある新興都市グルガオン。この10年ほどで急速に発展したグローバルなサイバーシティで、多くの外資系企業がオフィスを置いています。グルガオンにあるデリー近郊の不動産事情に詳しいNRMインターナショナル社を訪ねました。在インドの日本人の7割近くが、ここグルガオンに滞在。デリーとムンバイを結ぶ国道8号線沿にある日本専用のニムラナ工業団地の入居率も9割近くに達していて、新しくギロット工業団地もできているそう。今後もデリーNCR(デリー首都圏)とムンバイをつなぐ国道8号線には、多くの日本企業が集まってくるようです。 ▲NRMのインド駐在の實川さん。インド進出企業の不動産に関する様々なサポートをしている 古いものと新しいものが共存。活気に溢れるインドのデリー デリー中心部のビル街に残る「階段井戸 Agrasen ki Baoli」は、各地に残る世界遺産の階段井戸のような派手さはありませんが、生活に根ざしていたことを窺わせます。地元学生の交流・憩いの場として、カップルや学生グループの自撮りで大賑わい。映画ボリウッドのロケ撮影にもよく登場します。 ▲デリー中心部のビル街に残る「階段井戸 Agrasen ki Baoli」は、若者のデートスポット 今後、経済を中心に世界で重要な位置を占めるインド。トランローグのインドウォッチは続きます。インドライフスタイル取材については、contact☆tranlogue.jp(☆を@に替えて)まで、お問い合わせください。 その他の記事を読む 前の投稿サンフランシスコで見た次の暮らしのデザイン 次の投稿コロナ禍から脱出 !? 2023年版 “アフターコロナ/ウクライナ危機後の未来年表” を公開。“未来デザインワークショップ” で未来の暮らしと社会をデザインしよう!